明日の僕らは
侑壱はふう、とひとつ息を吐くと。
私の表情を窺い見るよう、そして諭しながら、言葉を続けた。
「あのさ、お前、あれだろ?碧と仲良くしてたのな。話聞かなかったし、知らんけど。でも、だから・・・、このボール探したくなったんじゃないの」
「え?間宮くんと?・・・私が?」
「最近、毎日見舞いに来てるヤツいるって看護師さんが。それってさ…だから・・・これ、『ミドリ』って何かのメモがわりに書いたんだんじゃ?」
「毎日・・・?」
「それも・・・覚えてない、か」
侑壱は「はい」と私の手の中に、チョコレートの銀紙を置いた。
近くで見るとそれは・・・五角形の形した、銀紙。
裏返せば、確かにそこには私の字で「ミドリ」。
震えた、ガタガタの字。
「・・・・・・」
私は、間宮碧と毎日・・・会っている?
ならば、昨日の私は一体、どこにいるのだろう
一昨日の私は、一体何を思っていたのだろう
今日の私は、今・・・ここにいる私は、昨日までの自分の問いに応えることもできない。
「ああ…これ。サッカーボール、みたい」
君の名前が書かれた、五角形のそれは・・・
今私の目の前にある、そのボールの一部にさえ思える。
「・・・侑壱、ごめん。そのボール、回転させてくれる?」
視界が・・・次第にぼんやりとする。
幾重にも重なって見えてしまう蟻んこみたいなメッセージの文字に、頭の中で処理できない、何か混乱が起きているのか?それも・・・分からない。
「あ、待って」
その中で、ひとつだけ。
黒い部分に、ぼんやりと映し出された、黒の文字が・・・あった。
「ふふ、汚ったない字・・・」
思わず、笑ってしまった。
文字の羅列など、そこにはない。
ただ、1人だけ。
大きく雑なのかどうかもわからない字で、黒の箇所にメッセージを書いた少年がいた。
そんな記憶が・・・私の中に残されていた。
黒のペンで、多分こう書いた。
『ミドリ』。
私の目は二重に見えているから、2つのミドリ。
私の表情を窺い見るよう、そして諭しながら、言葉を続けた。
「あのさ、お前、あれだろ?碧と仲良くしてたのな。話聞かなかったし、知らんけど。でも、だから・・・、このボール探したくなったんじゃないの」
「え?間宮くんと?・・・私が?」
「最近、毎日見舞いに来てるヤツいるって看護師さんが。それってさ…だから・・・これ、『ミドリ』って何かのメモがわりに書いたんだんじゃ?」
「毎日・・・?」
「それも・・・覚えてない、か」
侑壱は「はい」と私の手の中に、チョコレートの銀紙を置いた。
近くで見るとそれは・・・五角形の形した、銀紙。
裏返せば、確かにそこには私の字で「ミドリ」。
震えた、ガタガタの字。
「・・・・・・」
私は、間宮碧と毎日・・・会っている?
ならば、昨日の私は一体、どこにいるのだろう
一昨日の私は、一体何を思っていたのだろう
今日の私は、今・・・ここにいる私は、昨日までの自分の問いに応えることもできない。
「ああ…これ。サッカーボール、みたい」
君の名前が書かれた、五角形のそれは・・・
今私の目の前にある、そのボールの一部にさえ思える。
「・・・侑壱、ごめん。そのボール、回転させてくれる?」
視界が・・・次第にぼんやりとする。
幾重にも重なって見えてしまう蟻んこみたいなメッセージの文字に、頭の中で処理できない、何か混乱が起きているのか?それも・・・分からない。
「あ、待って」
その中で、ひとつだけ。
黒い部分に、ぼんやりと映し出された、黒の文字が・・・あった。
「ふふ、汚ったない字・・・」
思わず、笑ってしまった。
文字の羅列など、そこにはない。
ただ、1人だけ。
大きく雑なのかどうかもわからない字で、黒の箇所にメッセージを書いた少年がいた。
そんな記憶が・・・私の中に残されていた。
黒のペンで、多分こう書いた。
『ミドリ』。
私の目は二重に見えているから、2つのミドリ。