好きじゃないよ

みんなで机をくっつけてさっき買ってきたパンと飲み物を広げる。
携帯もメイク道具も取り出す。

昼休みの30分間の、ちょっとした女子会。
授業がおわって至福の一時だ。

「みんな好きな人いないのー?」

この中で唯一、彼氏がいる、愛里がみんなに聞いた。

「うわ、自慢だ自慢。」

「まじー、私ら悲しいから!」

「そーだよー!やめなさい。愛里さん」

好きな人か…

チラッと立川のほうを見る。

男子に囲まれてすごく楽しそうに話している。笑顔が輝いててかっこいい。いつまででも見れるな…

「優愛ってさ、立川のこと好きでしょ」

「はっ!?」

杏佳が私に聞いた。

「「え!そうなの!?」」

すかさず2人も前のめりで聞いてきた。

「や、好きじゃない…よ 」

「あー、違うんだー」

「残念だなー」

「えへへ… ごめんねー」

うそついてしまった。ほんとは好きなんだ。大好きなんだ。立川のこと。
なんで杏佳はわかったんだろう。
私、そんな顔とか態度に出てるのかな…?

それだったらすごく恥ずかしい。
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