好きじゃないよ
「じゃあねー」
「また明日!」
「ばいばーい」
3人に別れを告げ、同じ陸部の希美と部活へ行った。
希美、彩、美琴は同じ陸部だからよく遊んでいて仲がいい。
希美と他愛もない話をしながら部活へ行き、アップを始める。
2人で走っていたら後ろから話しかけられた。
後ろを振り返ると。
「よ、どーした?」
やっぱり立川だ。
話しかけられてすごくドキドキしてる。すごくうれしい。
…と思ったのも束の間。
2人が話しているのを聞かながら見ていると、笑いあって2人が叩きあっている。
すごく嫌だ。私はそんなことできないのに。初めて味わう気持ち。これが嫉妬っていうのかな。2人の会話が頭に入らない。
「二階堂、どうした?ぼーっとして」
「優愛、大丈夫?」
「あ!ごめん!なんにもないよ!」
「ほんとか?熱とかないよな?」
「ないって!大丈夫!ありがとね」
「立川、心配性なの?イメージないけど。あははっ」
希美が笑う。それにつられて私たちも笑った。これがいいの。みんなで笑いあえれば。立川が笑ってくれれば、それでいいんだ。
それ以上の関係なんて私はなれない。
あーあ、やだな。
立川のことを独占したいとか思っちゃう。
私、そんなに図々しかったっけ。
いつもバカで、ひどいことも言ってきて。愚痴とかお互いに言うけど。
たまにある優しさとか、いつもは言わない頑張っての言葉も。声も輝いてる瞳も。
立川の全部が
…大好きなんだ。