好きじゃないよ

みーんみーん、とせみの鳴き声が体育館に鳴り響く。

今日は1学期の終了式。

夏休み中はもう学校で立川に会えない。
でも部活があるから頑張れるかも。

とかいろいろ考えてたら式が終わってた。
いつめんで教室に帰っていると、高梨に呼び止められた。

みんなに先に行ってと伝えて高梨のところに行く。

「二階堂さ、8月15日のお祭り行くの?」

「うーん、行きたいけど、まだ予定とか決まってないかな…?」

「じゃ、じゃあさ、一緒行かない?」

「…え?あ、いいけど。あの、2人で?」

「あ、いや、ううん。クラスのみんなも誘いたいけど、どうかなーって」

「うん!行こ!」

やったぁ!クラスだ!高梨ナイス。
立川も来るのかな?
来るなら浴衣来ていつもと違うメイクしよう。なにか印象をもってくれるかな。

「…どうしたの?」

「え?なにが?」

すごい見られてたけど、私なんか変だったのかな?

「あ、いや、笑ってたから」

「え!うそ!!」

ポッと顔が赤くなっていくのがわかる。
顔に出ちゃってたんだ… 恥ずかしすぎる。

「あはっ、ごめん、からかうとか、そういうつもりじゃなかったんだけど。
嫌な思いさせちゃってたらごめんね?」

「そんな!私が勝手に赤くなっちゃったし!逆に言ってくれてよかった!」

「そっか、よかったわ!ははは」

「あはは」

2人で笑い合った。
なんか高梨、変わった気がする。
前までは静かな感じだったのに、よく笑うとこを最近は見るような…。

私と話すのに慣れてくれたのかな?それだったら、うれしいかも。


高梨と雑談をしているとき、なにか視線を感じ、その方向を見た。

…立川?

あれ?今、立川と目があった?違うよね?そんなはずは…。
高梨と話してても頭にいるのは私の右側にいる、立川のことを考えてしまう。

どうして、どうして叶わない恋だってわかってるのに諦められないんだろう。

諦められたら。立川のこと好きじゃなくなったら、どれだけ楽か。勝手にしてる嫉妬がなくなることか。


いつの間にか、高梨への返事も作り笑いになってしまった。
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