好きじゃないよ
2章
今日は待ちに待ったお祭りの日。
浴衣はお母さんに着付けをしてもらった。
メイクもヘアアレンジもばっちり!
立川はどんな格好だろ。すごく楽しみ。
みんなと待ち合わせの場所に着いた。
既に何人か来ていたけど、立川は…まだいない。
夏休み前に、高梨や仲のいい増田、千葉などがみんなを誘ってくれたらしい。
「優愛!」
愛理、咲希、杏佳がもう着いていて、私のことを呼んだ。
「かわいい!メイクとかいつもと違うね。すごい似合ってる」
さすが女子はすぐ気がつくんだね。
「そう、ちょっと変えてみた!変じゃないかな?」
「いや、そんなにかわいかったら高梨ももっと好きになっちゃうよー?」
「ちょ、やめてよ!前にも言ったけどそんなこと絶対ないから!」
「照れちゃってー」
またみんなからかってくる。最近はいつもこうだ。これに慣れるまでどのくらいかかるんだか。
こんな話をしているうちにぞくぞくとメンバーが集まってきた。
探しても探しても立川の姿は見えない。
今日は来ないのかな…
「じゃあ、結構集まったし、行きますか!」
クラスの千葉の号令でみんなが歩き始める。立川がいないとこんなに頑張った意味がないのに。
「うわー!待って!ごめん、おくれた!」
後ろには息が切れてる立川がいた。
こんなとき彼女だったら大丈夫だよ、とか言うのかな。
なんにも言えない自分にイライラする。
「おぉ、ぎりだったな。よし、また1人増えたってことで!こんどこそ行くか!」
立川の私服姿。初めて見た。
白のTシャツに半ズボン。その上にはチェックのパーカーを羽織っている。男の子って感じ。
あぁぁぁ、かっこいい。かっこいい以外に言葉が見つかんないくらい。
え!急に立川がこっちを見てきた。
てゆーか、うん。目があった。気がした?
いや、嘘ではない。こっちに来てる…
あ、私の後ろに友達がいるのかな。そうだね。どかなきゃね。
と、思ってどいても。目の前には立川。どんな状況なの、これ。
心臓のドキドキを抑えきれず上を向いてみる…と。
立川が私の顔をまじまじと見つめている。
「ど、どうしたの?なんかついてる?変…かな?」
「いや、ごめん、いつもと違うから。その、かわいいなって思って。」
「…え?」
「よし、行こ!みんな行ってるから」
「あ、あ、うん。」
なんなの今の。どうしよう。まさかあんなこと言われると思ってなかったから。
もう!心臓うるさい!そんなにおっきい音なってたら聞こえちゃうじゃん。
すっごく嬉しかった。でも、なんであんなこと。私に言ってくれたんだろ。期待してもいいんですか?頑張っちゃうよ?私。