きみと駆けるアイディールワールド―緑風の章、セーブポイントから―
第2章:ルラ-Lula-
○魂の行方を捜索中?
広大な草原のステージ、サロール・タルを、風がびゅうびゅうと吹き渡る。
草原っていっても、牧歌的な一面の若草色とかじゃなくて、ところどころ土がむき出しの乾燥地帯。草がまばらなあたりなんて、沙漠地帯に片足突っ込んでる。
「荒野ですねー。地平線まで、ひたすら何もありませんね」
手でひさしを作ってみせるアタシに、ニコルさんは「そうだね」とリプライしてくれた。シャリンさんは、珍しいオーロラカラーの髪を背中に払って、ため息をついた。
「ニコルもルラもボーッとしないで。時間がもったいない。さっさと進むわよ」
「は、はい、スミマセン!」
ニコルさんが間に入って微笑んだ。端正な顔に、タラッと流れる汗マークを組み合わせてるのがアニメっぽい。
「シャリン、気が急くのはわかるけど、焦らずに。まずはルラちゃんに事情を説明しないと」
「ああもう、わかってるわよ。ルラ、アンタのデータ、バグってるまま?」
「はい、バグったままです。シャリンさんたちの仲間《ピア》として前のステージをクリアしたことになっちゃってます」
「やっぱり、一時的なものじゃなかったのね。こうなったのも、ラフのせいよ」
シャリンさんが指差した先に、黒髪の男戦士さんがいる。ニコルさんと同じくらいの長身で、前回見たときより装備品が充実してる。裸の胸をメイルで覆って、背中にはクロスさせた2本の大剣。
「この人、ラフさんっていうんですね」
「仲間《ピア》なんだから、名前もステータスもパラメータボックスで確認できるでしょ」
「あ、そっか。ラフさんのプロフィールを表示、っと」
name : Laugh-Maker(♂)
class : highest
peer : Nicol, SHA-LING, Lula
status : remote by SHA-LING
見た目どおり、物理攻撃のパワーがすごい。素早さもけっこう高いほうで、破壊力抜群な単体向けスキルがずらりと揃ってる。この人、強いわ。
「ん? シャリンさん、このremote《リモート》って何ですか?」
「知らないの?」
う、呆れられた。
「スミマセン。アタシ、音楽ゲーム以外は詳しくなくて」
歌入り曲が目玉の音ゲーはマニアの域ですけども。
「リモートというのは、移動でも戦闘でもワタシがラフを操作しているという意味よ。しゃべらせたり感情を表現させたりはできない」
「ラフさん的にはオート操作になってる状態ってことですか?」
「そうね。ワタシに操作を預けざるを得ない状態だから。でも、ルラにはあまり関係ないわ。仲間《ピア》の中にしゃべらない男がいるとだけ思っていて」
アタシはラフさんを観察する。黒い髪と黒い目のイケメンさんだけど、赤黒い紋様が全身に描かれてる上に無表情。独特の迫力があるっていうか、けっこう怖い。まあ、慣れるっきゃないか。
草原っていっても、牧歌的な一面の若草色とかじゃなくて、ところどころ土がむき出しの乾燥地帯。草がまばらなあたりなんて、沙漠地帯に片足突っ込んでる。
「荒野ですねー。地平線まで、ひたすら何もありませんね」
手でひさしを作ってみせるアタシに、ニコルさんは「そうだね」とリプライしてくれた。シャリンさんは、珍しいオーロラカラーの髪を背中に払って、ため息をついた。
「ニコルもルラもボーッとしないで。時間がもったいない。さっさと進むわよ」
「は、はい、スミマセン!」
ニコルさんが間に入って微笑んだ。端正な顔に、タラッと流れる汗マークを組み合わせてるのがアニメっぽい。
「シャリン、気が急くのはわかるけど、焦らずに。まずはルラちゃんに事情を説明しないと」
「ああもう、わかってるわよ。ルラ、アンタのデータ、バグってるまま?」
「はい、バグったままです。シャリンさんたちの仲間《ピア》として前のステージをクリアしたことになっちゃってます」
「やっぱり、一時的なものじゃなかったのね。こうなったのも、ラフのせいよ」
シャリンさんが指差した先に、黒髪の男戦士さんがいる。ニコルさんと同じくらいの長身で、前回見たときより装備品が充実してる。裸の胸をメイルで覆って、背中にはクロスさせた2本の大剣。
「この人、ラフさんっていうんですね」
「仲間《ピア》なんだから、名前もステータスもパラメータボックスで確認できるでしょ」
「あ、そっか。ラフさんのプロフィールを表示、っと」
name : Laugh-Maker(♂)
class : highest
peer : Nicol, SHA-LING, Lula
status : remote by SHA-LING
見た目どおり、物理攻撃のパワーがすごい。素早さもけっこう高いほうで、破壊力抜群な単体向けスキルがずらりと揃ってる。この人、強いわ。
「ん? シャリンさん、このremote《リモート》って何ですか?」
「知らないの?」
う、呆れられた。
「スミマセン。アタシ、音楽ゲーム以外は詳しくなくて」
歌入り曲が目玉の音ゲーはマニアの域ですけども。
「リモートというのは、移動でも戦闘でもワタシがラフを操作しているという意味よ。しゃべらせたり感情を表現させたりはできない」
「ラフさん的にはオート操作になってる状態ってことですか?」
「そうね。ワタシに操作を預けざるを得ない状態だから。でも、ルラにはあまり関係ないわ。仲間《ピア》の中にしゃべらない男がいるとだけ思っていて」
アタシはラフさんを観察する。黒い髪と黒い目のイケメンさんだけど、赤黒い紋様が全身に描かれてる上に無表情。独特の迫力があるっていうか、けっこう怖い。まあ、慣れるっきゃないか。