野良日常録
《妄想族》




明日は東京私立大会三日目。
二日目を勝ち進んで今はベスト8。明日勝ったらベスト4。

私は父さんを誘ってみた。
「麻から酒飲んでんなら、大会来る?」って言ったの。
父さんは行く気満々。
「場所どこだ?」って毎晩のように聞かれた。
その反面母さんが
「父さん行くなら母さん行かない」っだって…
あまり仲良くないのはわかってたけど、悲しかった。
母さんは酔っ払い父さんが嫌なんじゃない、父さんが嫌なんだって思った。
結婚して30年以上。
たまってたものはもうすぐあふれる。すでに溢れているのかもしれない。
伸びきったゴムのように、少しの反動ではじけてしまうのは時間の問題。
私はいつも思う。
「早く別れないかな」って。
そうすれば楽になれるのに。

私は結局、父さんに嘘をついた。「大会なんて無いよ。」


ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。


私は母さんを選んだの。
一緒にいる時間が少しだけ多くて、母さんの辛いのも聞いていたから。


ごめんなさい。
ごめんなさい。


でもね?
母さんの愚痴を聞いているのもすごく辛いんだよ?
だって父さんが好きだから。
酒ばっか飲んで、愚痴ばっかり言って、嫌みみたいな会話ばっかりだけど、私は父さんがいなかったらここにはいない。
大好きな家族、友達、バレーボール、野球、愛しい人。
全てに出会えたのは父さんと母さんのおかげなんだよ?
素直に言えないけど感謝してるんだよ?
だから…嘘をついてごめんなさい。
言葉に言えないから、今を頑張って楽しむね?
学校も部活も生活も。


だから、見守っていてね?

頑張るから。





2009年2月7日(土)
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