冬は心が「寒い」と嘆く。
毎日、隣に想う男性がいる。


そんな同棲を始めて数ヶ月が経つ。



彼と私は大学のサークルの先輩後輩の関係で、一つ違いだから卒業と就職も彼の方が1年早かった。


私達が付き合い始めたのは、私が2年生の時。

彼からの告白で、今思えば私は何となくOKしてしまった気がする。


もしかしたら、当時の私は一人暮らしが寂しくて一人でいたくなくて、ただ誰かに抱きしめてもらいたかっただけなのかもしれない。


だけれど、彼とデートを重ねていくうちに、いつの間にか私は彼に心を奪われていて。

3年以上順調に続いて、私が就職すると同時に同棲することになって。


“ただ誰かに抱きしめてもらいたかった”という思いで始まったこの恋愛も、もう4年が経つなんて早いものだ。

今では“この人に抱きしめてもらいたい”に変わっているのだし。


人生、やっぱり何があるか分からない。



色々と思い出しながら料理を作り終えた時、ガチャ、と玄関のドアを開ける音がした。



「ただいまー」



彼が帰ってきた。

急いで玄関に向かう。



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