執事様は総長様!!
第一章
私の事
その日の私は、どうにも気分が悪かった。
どう考えても、ご機嫌とは言えなかった。
…の癖に、だ。
「ねぇねぇ飛鳥ーっ!今日一緒にご飯食べないー?」
うるっさいのよ。
確かに私はいつも明るいキャラだから、クラスの女子に人気はあるんじゃないかと言う事はあるだろう。
でも、でもね。
明るい人はずーっと明るいと思うんじゃないわよ。っていう話な訳なのだ。
それでなくても、今日は朝起きた時間の為に散々『やーい遅刻だー』と毒舌執事にからかわれ、最悪の気分での登校だったと言うのに!
「私今日はムリ」
いつもなら語尾を伸ばして、最後に「本当にゴメンね?」とか付け足すけど、今日の私は優しくない。
いつもより幾分か低い声を出して、そのまま屋上へと向かった。
一人になれるなら、この際寒い屋外でも構わないわ。
「さっむ…」
とは言ったものの、やはり外は寒い。
ああ、凍えて倒れそうだわ。
こんな事なら空き教室でも探すべきだったかしら?
「……………あれ?」
え、ちょ、はぁ?
いやいや、今冬よね!?
私が目にしたものは、冬だと言うのにシャツ一枚で眠りこけている男の姿だった。
「待ってどうして眠っているの!?」
私は軽いパニックに陥り、その場をうろうろと歩き回った。
えっと…。
とりあえず、起こすかブランケットでもかけてあげるかしなきゃよね。
このまま放っておいたら風邪ひくわ。