執事様は総長様!!
私は、鞄の中から持ち運び用の、それでも私の体がすっぽり収まるくらいの、私の愛用ブランケットを取り出した。
あんまり他の人には渡したくないけど、この際仕方ないわね。
どうやら、外の寒い風に当たってイライラのほとぼりも冷めた様だし。
「えっと、風邪には気を付けて下さい」
パサッとブランケットを男の人に被せる。
やはり少し小さいが、無いよりはマシだと思う。
そんな事をしていたら、昼休みが残り10分もない事に気が付いた。
「きゃあ!大変!」
私は、屋上から出て、階段でお弁当箱を広げた。
屋外よりは暖かいけれど、屋外よりは騒がしい。
まぁ仕方ない、かな。
お弁当を口に運びながら、これからどうしようなんて考えを巡らせる。
とりあえず、今日お弁当を断った子にはちゃんと謝っておかなくちゃ。
「んー、おいし…」
始めの頃はマズすぎて反吐が出そうだった執事のご飯も、今は絶品料理となった。
中でも、この特性卵焼きは格別だ。
「ただの卵焼きなのに濃厚でコクがあって、でも濃過ぎ無いこの味がなんと…っ、も!?」
卵焼きについて語ろうとした矢先、私は頭にガンとした衝撃を受け、階段を転がり落ちて行った。