ハロー、マイファーストレディ!
男が本性を現したのは、出会ってから数ヶ月が経った頃だった。
“今から会える?”
日曜の夕方届いた一通のメールに、私は浮き足立つ。急いでおしゃれをして、家を出た。
指定されたホテルの一室に辿り着くと、すぐに彼に部屋の中へと引き入れられる。いつもなら、優しい笑顔と声で迎えられるところだが、その日の谷崎は私の知っている彼とは何もかもが違っていた。
力一杯腕を引かれて、そのまま玄関の壁に背中を押しつけられる。谷崎は、私の両手を片手で拘束すると、強引に唇を押しつけてきた。訳も分からずキスに応えると、今度はすぐにベッドへと引きずり込まれた。
欲情に滲む瞳で私を見下ろしながら、谷崎はまるで別人のように乱雑に私を扱った。せっかく着てきたお気に入りのワンピースもすぐに脱がされて床へと放り投げられる。
私に触れる手は、優しさなど微塵も含まれていない。それでも、初めて受ける欲望剥き出しの愛撫に、私の身体は瞬く間に熱くなっていった。
その熱に浮かされたまま、いつもより身体を激しく揺さぶられる。少しの背徳感とそれを遙かに上回る快感。彼が初めて見せる獣のような欲望を、従順に全て受け入れていった。
早い話が、完全に流されて我を忘れていた。
避妊していないことに気が付いたのは、不覚にも何度も身体を繋げた後だった。
驚いて問いただすと、彼は冷めた目をして言った。
『大丈夫だよ、妊娠もしなけりゃ、病気も持ってない。病院できちんと検査済みだから。』