ハロー、マイファーストレディ!
「私は、真依子に幸せになってほしいだけよ。」
「十分幸せですので、ご心配なく。」
「あとは、親友とたまには恋バナで盛り上がりたいだけ。」
「いつも、瞳さんのお話はちゃんと聞いてあげてますけど?」
「馬鹿ね、一方的に聞いてもらうだけじゃ惚気づらいでしょ?」
「どうせ、その惚気もすぐに愚痴に変わるんだからいいじゃない。」
「もう、そういうこと言わない。」
反撃に出た私に、痛いところを突かれたのか、瞳は不機嫌そうに口をとがらせている。
その顔はとても愛嬌があって、かわいい。
こういうところが、男性を惹きつけるポイントなのだろうと思う。
実際に、瞳はよくモテる。
本人も公言しているくらいの恋愛体質で、常に恋愛をしていないと気が済まないタイプだ。
しかしながら、男を見る目が無さ過ぎるのか、毎回付き合う男は所謂だめんずというやつで、いつも長続きはしない。
浮気男に、借金男。
無職のヒモ男なんて可愛いもので。
結婚していることを隠していた男までいた。
ゆえに、理由は違えど、今現在、恋人が居ないという状態は私と同じ。
前の彼氏と別れてから三ヶ月、瞳にしては長い期間だ。
だから、このところは休日にこうして二人でダラダラ過ごすことも可能な訳で。
このまま、しばらくこの状態が続けばいいと思っている。
親友なのに、私は薄情な人間だ。
「とりあえず、ショッピング行こうよ。時間あるでしょ?」
瞳のご機嫌を取ろうと明るく話しかければ、私の予想に反して、彼女はエヘヘと照れたように笑った。
「それがね、今日の夜はデートなんだぁ。」
語尾を不自然に伸ばした甘ったるい声で告げる彼女に、思わず顔をしかめてしまった。