ハロー、マイファーストレディ!
□ あなたの隣
目を開いた瞬間、見上げた天井がいつもより広いことに気が付く。
広いのは天井だけではない。
手を伸ばせばすぐにベッドの端に届くはずが、どういう訳か両手を伸ばしても指先すらベッドからはみ出ることはない。
ふかふかとした寝心地の良いマットレスと清潔で肌触りのいいシーツの上で、私の体はこれまた上質な毛布に包まれていた。
……下着も何も着けていない、いわゆる真っ裸のまま。
微かに部屋のどこかからシャワーの音が聞こえてきて、私は寝ぼけながらも、ゆっくりと昨日の出来事を思いだしはじめていた。
それと同時に、下腹部に感じる鈍い痛みの正体に気が付いて、思わず毛布に顔をうずめる。
そうか、ここは。
高柳征太郎の家だ。
それも、以前訪れたことのある議員宿舎でもなければ、地元事務所でもない。
正真正銘、高柳家の本宅。
二階に新たに設けられた、私たちの寝室だ。
もう一度毛布からこっそり顔を出して部屋の中を見渡した。
純和風の外観や他の部屋の雰囲気とはまるで違う、シンプルな洋室。壁紙と天井は白、建具や家具はナチュラル色で統一されていて、木目の美しい無垢のフローリングに、窓からはたくさん自然の光が差し込んでいた。全体的に明るく健康的な印象の部屋だ。