ハロー、マイファーストレディ!
Ⅱ、美談かスキャンダルか
■ 狙ったものは逃がさない
「率直に言って、アタリだな。」
計画開始を告げた日からきっちり五日後、透は内海真依子に関する報告書をまとめてきた。
得意げな顔で彼女の写真をひらひらと振る透は、すでに大手柄を上げたかのように満足そうな笑みを浮かべている。
議員会館の部屋には、一番奥に小さな鍵の掛かる会議室がある。
会議テーブル上に置かれた報告書に、地元から呼び寄せた大川と共に目を通した。
内海真依子
年齢:27歳
出身:東京都三鷹市
学歴:M大学医学部看護学科卒
職歴:森ノ宮記念病院
(大学卒業後、勤続六年目)
趣味:ショッピング、読書
一通り読んでいくと、ある項目が目にとまる。
結婚歴:なし
恋人:なし
「男がいないのは、好都合だな。」
単純な感想を漏らせば、透がすかさず補足する。
「ああ、あの容姿にしては、不自然なくらい浮いた話がない。今だけじゃない、過去も洗ったが、男友達の一人すら出てこなかった。」
「確かに、不思議だな。トラウマでもあるのか?」
「そこまでは、調べがついてないが、大学時代の友達の話では、本人は恋愛しないと公言しているらしい。」
「恋愛しない女か。」
「ああ、だから過去の男関係では厄介な事にはまずならないが…念のため結婚歴がないか戸籍を確認したら、重要なことが分かった。」
透は、意味ありげに笑ったかと思えば、急に真剣な顔つきになった。