ハロー、マイファーストレディ!
「真依子せんぱーい!!」
廊下の反対側から私を読んだのは、皆藤さんで。
その手には、なぜかいつものファッション誌ではなくおじさんが読むような週刊誌らしき冊子を掴んでいた。
そして、こともあろうか病院の廊下を全速力でダッシュして、こちらへと向かってくる。
「皆藤さん、走らないで。」
注意しながら、彼女が追いつくのを待てば、彼女は、何を思ったかいきなり私の両肩を掴んで、激しく前後に揺さぶった。
「走らずに居られますかっ!真依子先輩、やっぱりあの日も約束してたんじゃないですか?」
「は、何の話?約束って、誰と?」
「水くさいですよっ。可愛い後輩には、教えてくれてもいいのにぃ!!」
「だから、何の話よ?ほんとに分かんない。」
興奮さめやらぬ皆藤さんを何とか宥めると、彼女はようやく握っていた週刊誌を開きながら言った。
「だって、これ。高柳議員と一緒に写ってるの、先輩ですよね?」
見開きのページに目を落とした瞬間、驚きのあまり絶句した。
固まる私を前に、皆藤さんはきょとんとする。
「内海さん、ちょっといいかしら?」
驚きのあまりその場から動けなくなった私に、背後から掛けられた声は、師長のものだった。
私は振り返ってから、その真剣な表情を見て、何となく自分が置かれた状況を悟ったのだった。