ハロー、マイファーストレディ！
「頭を上げなさい。別に迷惑ということはない。それに、君は何も悪いことはしていない。」
「ですが…」
「確かに、患者とそういった関係になるのは好ましくないが、就業規則で禁止しているわけでも無いしな。」
「いや、それがですね…」
「まあまあ、若いというのは羨ましいな。とにかく、しばらく報道が落ち着くまで休みを取りなさい。師長、すぐにシフトを調整して。」
「はい、分かりました。」
「あの、そうではなくてですね！」
「気にすることはない。普段から君の勤務態度は極めて真面目なようだから、ご褒美だと思えばいい。先ほど、高柳先生ご本人からご連絡いただいて、よろしく頼むと言われたしな。」
「はあ…」

何度となく事情を説明しようとする声を制され、最後まで院長の話を聞いてみれば、何のことはない、上機嫌だったのはあの男が直々に連絡をしてきたことが原因だった。
おそらく、院長にとっては、また一つ政治家との繋がりが出来た事は喜ばしいことなのだろう。
ひょっとすると、病院の宣伝が出来たくらいに考えているかもしれない。

「とにかく、しばらくお休みを取りなさい。旧館の通用口にタクシーを呼ぶといい。あそこは、たぶん知られてないから。」

院長はそう言うと、話は終わったとばかりに師長に目配せをする。

「とは言っても、今日の君なら、堂々と正面から出て行っても気づかれないかも知れないが。」

院長が思わず漏らした言葉に、「失礼します」と頭を下げて院長室を後にした。
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