ハロー、マイファーストレディ!

そして、「いいよ」と返事を送り、本当に翌週原宿で待ち合わせてクレープを食べに行った。
事件について何か聞かれるかもと思ったが、瞳は一言「あんたも、大変だったわね。少しやつれた?」と言っただけだった。

それでも、私はそんな瞳に少なからず救われたのだ。
どんなに丁寧な慰めの言葉よりも、あの日食べたクレープの味が私を立ち直らせた。

瞳に、ふざけて「クレープ食べたい」と返信する。

瞳は慌てた文面で「く、く、く、クレープ!?ちょっと、待って」と返してきた。

私はその返しに吹き出しつつも、少し冷静になって、真面目にメッセージを返した。
今、とてもじゃないが、家に帰ってこられるような状況ではないこと。
さっきから、インターフォンが鳴り止まないこと。
瞳もどこか安全なところへ隠れた方がいいこと。

メッセージを送りながら、昼間に見た瞳の真剣な顔を思い出す。

『困った時には、もっと私を頼ってよ。』

何でも分かり合える友達だと思っていた。
いや、私は、今でもそう思っている。
だけど、瞳は、どこか、私との間に距離を感じていたのだろうか。

『たまには私の出番もくれないと、拗ねるからね。』

瞳が心からそう思っているのが伝わってきて、胸が締め付けられた。

ねえ、瞳。
そんなんじゃないよ。
私は本当に、あんたを頼りにしてる。

私はメッセージの最後に。
そっと「助けて」と付け足した。
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