ハロー、マイファーストレディ!
真依子に関する全ての手配を透に任せて、俺は黙々と仕事を片づけた。
急を要する案件が全て片付いたのは、夜の10時過ぎ。
机の端のスマホに手を伸ばし、透に連絡してから、クラウンホテルへと向かう。
保健福祉省の庁舎前には、透の手配で馴染みの個人タクシーが呼んであった。
「いつも、ありがとうございます。」
深々と礼をしたこの運転士は、物腰こそ柔らかいが、実は元は警視庁の刑事で、なかなかの切れ者だ。
「後ろに、二台ついてますね。」
静かにそう呟くと、尾行している車をうまく巻いてから俺をホテルへと送り届けた。
真依子との関係を騒がれるのは一向に構わないが、さすがにせっかく避難させた真依子の居場所をみすみす教えるつもりはない。
俺はホテルに着いてからも、周囲に記者の姿がないかを確認し、足早にエレベーターへと乗り込んだ。
目指すは25階。
真依子が待つ、スイートルームだ。