ハロー、マイファーストレディ!
返事を待っていると、彼女はしばらく考えた後、時計をちらりと見てから、またニコリともせずに答えた。
「あと、30分ですね。その後、もう一度診察予定ですから、終わるのは早くても9時半頃です。」
「は?」
こちらの質問から意図を汲み取って、帰り時間の目安までを教えてくれたのはいいのだが。
その時刻があまりにも遅かったため、思わず顔をしかめてしまった。
しかし、俺のそんな様子も一切気にする様子はなく、目の前の彼女は、また踵を返そうとする。
慌てて、もう一度呼び止めた。
「ちょっと待って、そんなにかかるのか?」
「ええ。救急外来の医師の手が空いたタイミングにもよりますが。」
「もっと早くならないかな。急いでいるんだ。」
「そう言われましても。点滴はこれ以上早く落とせませんし。」
淡々と言い返してくる彼女に少しばかり苛ついてしまったのか、気が付けば、いつものプリンスの仮面を忘れて、素の俺で問いただしていた。
「そもそも、この点滴ってどうしても必要なのか?」
「…どうしても、と言うわけではないと思いますが。」
思ったより歯切れの悪い回答に、先ほど頭の中に降って湧いた疑念が、確信に変わる。
「どうせ、過剰診療だろ?こういうのが、医療費増大に繋がるんだよ。」
資料を握りしめて、完全に意地悪く言葉を投げ掛けた。
どうしてか、この飄々とした美人看護師の顔を少しでも焦らせてやりたい衝動に駆られていた。
しかし、完全に仮面が剥がれた俺にも一切驚くことなく、彼女は語気を強めて言い返してくる。
「経口摂取出来る場合の輸液は、保険適応外ですので、これは自由診療です。」
「へ?自由診療?」
「あと、30分ですね。その後、もう一度診察予定ですから、終わるのは早くても9時半頃です。」
「は?」
こちらの質問から意図を汲み取って、帰り時間の目安までを教えてくれたのはいいのだが。
その時刻があまりにも遅かったため、思わず顔をしかめてしまった。
しかし、俺のそんな様子も一切気にする様子はなく、目の前の彼女は、また踵を返そうとする。
慌てて、もう一度呼び止めた。
「ちょっと待って、そんなにかかるのか?」
「ええ。救急外来の医師の手が空いたタイミングにもよりますが。」
「もっと早くならないかな。急いでいるんだ。」
「そう言われましても。点滴はこれ以上早く落とせませんし。」
淡々と言い返してくる彼女に少しばかり苛ついてしまったのか、気が付けば、いつものプリンスの仮面を忘れて、素の俺で問いただしていた。
「そもそも、この点滴ってどうしても必要なのか?」
「…どうしても、と言うわけではないと思いますが。」
思ったより歯切れの悪い回答に、先ほど頭の中に降って湧いた疑念が、確信に変わる。
「どうせ、過剰診療だろ?こういうのが、医療費増大に繋がるんだよ。」
資料を握りしめて、完全に意地悪く言葉を投げ掛けた。
どうしてか、この飄々とした美人看護師の顔を少しでも焦らせてやりたい衝動に駆られていた。
しかし、完全に仮面が剥がれた俺にも一切驚くことなく、彼女は語気を強めて言い返してくる。
「経口摂取出来る場合の輸液は、保険適応外ですので、これは自由診療です。」
「へ?自由診療?」