ハロー、マイファーストレディ!
透が去った後、議員室の机で仕事を始める。
しっかりと寝たせいか、いつもより頭が冴えていて、心なしか仕事も早く片づきそうだ。
しかし、仕事に没頭しながらも、時折、唇には昨夜の熱いキスの感触がよみがえってくる。
いったい、あれは何だったんだ。
我を忘れて夢中になることなど、初めての経験だった。
自分でも驚いている。
頬を染めた真依子を前に、芽生えた衝動を抑えることができなかった自分に。
こんなことを透に知られれば、確実に一生からかわれるだろうなと、考えてみただけでもぞっとした。
まあ、いい。
全ては計画通りだ。
彼女を説得することに成功した。
そのことに満足して、とりあえず唇に残る感触と未知の感情には蓋をした。
これから、忙しくなる。
俺の政治家生命、いや、人生を賭けた大勝負の始まりだ。
俺の胸は、程良い緊張感に高鳴っている。
どうしてか、今の俺にはいい風が吹いてくる予感がするのだ。
俺はもう一度だけ唇に手を当てて、静かに笑った。