ハロー、マイファーストレディ!
だから、この無謀とも言える計画に協力することにした。
自分に出来るかどうか、全く自信はないし。
そもそも、私に課せられた任務についても、今一つ理解できていないでさえいる。
まさか、子どもを産むことも含まれているとは。
ということは、遅かれ早かれ、征太郎に抱かれることになる訳で。
別に今すぐ一線を越えても全く問題ないことは、頭では理解出来ている。
彼の言うように、どうせこの先も恋愛とは無縁の人生だ。大切に貞操を守ったところで、意味もない。
けれども、突然入った彼の“男のスイッチ”に完全に怖じ気づいてしまった。
うまくかわすこともできずに、ただ、されるがままにキスを受け入れて。
ソファに押し倒された時には何がなんだか分からなかったが、やがて、恐怖で体が震え、自然と目からは涙がこぼれた。
我ながら、情けない。
いい歳をした大人だというのに、まるで子どもみたいだ。
だからだろうか。
征太郎は、私を抱き上げてベッドに寝かせると、子どもを宥める時みたいに、私の頭を優しく撫でた。
彼の意外に温かい手と、囁くように諭す声が、やがて私を眠りの世界へと誘う。
口から出るのは、優しさの欠片もないような言葉だけれど。
その手も声も。
どこか懐かしくて、とても心地よかった。
もう一度、その温もりを思い出しながら目を閉じようとした時、バスルームのドアがガチャリと音を立てた。