恋愛優遇は穏便に
肉料理を食べて、お皿を片付けてもらっていた。

次はデザートがくるところだった。


「政宗さん、ちょっとお手洗いにいってきます」


「どうぞ」


政宗さんを残してしまって申し訳ないけれど、ウェイターさんに聞き、お手洗いの場所を教えてもらった。

店の奥のお手洗いにいき、用を済ませ、鏡をみる。

せっかくおいしい料理をいただきにきたのに、少し目の下がクマができているように思えた。

政義さんのあの挑発するような態度はいただけなかった。

政宗さんのイライラが募るのもよくわかる。

でもあとデザートと飲み物がきたら終わりだからいいか。

背筋をのばし、気合を入れ、お手洗いから出ると、見慣れたスーツ姿の男性が目の前に立っている。

気にしないでそのまま通り抜けようとしたときだった。

ぐいっと、手を掴まれた。

離そうとしても、強い力に逆らえず、ひっぱられていった。

その瞬間だった。
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