恋愛優遇は穏便に
「守るって決めたんです。むつみさんと出会ってからずっと」


ぎゅっと抱きしめてくれるその肌とその奥の私に対する気持ちの熱さに、私を想ってくれる気持ちと同時に心配かけてしまったことを後悔した。


「だから、その意味をずっと心の中にしまって、大切にしてください」


「わかりました……」


私はそういうと、政宗さんに軽くくちづけをした。


「唇、大丈夫ですか?」


「ええ。心配かけてごめんなさい」


「むつみさんとキスだけで、僕は」


政宗さんは上体を起こす。

政宗さんの熱く湿った視線が降り注がれる。


「おかしくなりそうだ」


そういうと、政宗さんが唇を強く押しつけた。

私も呼応し、同じく唇を押しつけた。

やっぱり政宗さんとのキスは安心する。

一方通行のキスよりも、やっぱり気持ちがはっきりとぶつかるキスのほうが気持ちがいい。

政義さんの対するくだらない想いはまやかしだったと思うように、私は政宗さんと体でぶつかっていった。
< 106 / 258 >

この作品をシェア

pagetop