恋愛優遇は穏便に
10月に入り、だいぶ朝の空気がひんやりしはじめた。

相変わらず月曜の朝は寝起きが悪い。

大きなあくびをして、朝の支度をする。

政宗さんのやさしさを肌で感じながらも、やっぱり唇には政義さんの想いが乗っかっていた。

何度もうじうじ考えてしまう。

早く言わなきゃいけないのに。

政宗さんが研修から戻ったら話をしよう。

そう自分に言い聞かせて出勤した。

ロッカー室に行き、冬用の制服に着替える。

夏服と違って、少し生地が重い気がしたけれど、仕事をしていればなれるかと、事務室の扉を開ける。


「おはようございます」


みんな一様に返事をかえしてくれたけれど、政宗さんだけは冬服に変身した私をみて、目を輝かせていた。


「似合ってるわね、むつみちゃん」


「あ、ありがとうございます」


「制服、みんなおんなじなんですけど」


「麻衣ちゃんっ」


高清水さんがぼそっとつぶやいていたけれど、何だかおかしくて笑ってしまった。

むすっとしていた高清水さんも笑い、北野さん、政宗さんに伝播し、笑いの渦ができた。


「さて、高清水さんから目の覚める話題を提供してもらったところで、朝礼をはじめますか」

政宗さんが音頭をとり、朝礼を行った。
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