恋愛優遇は穏便に
10月も終わりにさしかかってきた月曜日。

散々飲んでいたので、頭が痛かった。

さすがに二日酔いで会社を休みますじゃあ、社会人として失格だから、重い頭をあげて、うすぼんやりした顔にメイクし、コートにシャツと黒のパンツ、ブーツを履いて出かけた。

日陰に入ると風が冷たく、日向に入ると少しは暖かく感じられた。

皆、月曜日ということもあって、やる気のある顔つきではなく、まずは会社へ行こうという気力だけで向かっているように思えた。私もその群れの中をまだ重い頭で歩いていった。

会社について、もしかして政宗さんがいるのかもと期待してしまったけれど、事務所につくと、案の定、北野さんと高清水さんが自分の席についていた。


「ちょっと暗いですね」


高清水さんがぼそっとつぶやいてきた。


「え、そうですか?」


私はうつむきながら、仕事の準備をはじめた。


「そうね。むつみちゃん、何かあった?」


北野さんも困り顔で私に目を向けていた。


「い、いえ何にも」


「そうかなあ。五十嵐くんに聞いてみたら話がわかったりして」


「え、それは……」


ごまかそうとしたけれど、言葉がうまくでてこない。

そのまま黙ってしまった。
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