恋愛優遇は穏便に
おかげさまで仕事は順調、といいたいところだったけれど、やっぱりミスした箇所は高清水さんに怒られて直してデータの取りまとめをしたりした。

お昼休みも高清水さんや北野さん、たまに栗林さんが顔を出してくれてたわいもない話をして過ごしていた。

朝も帰りもやはり政宗さんとは会うことはなかった。

メールをしようとしたけれど、何を書いても嘘にみられるんだろう、と思って結局送らなかった。

そして、金曜日、いつものようにあの駅前の高層ビルに向かう。

足元はおぼつかないまま、ただ流れにそって歩くように、気づけば会社についていた。


「むつみチャン、こんばんは」


私の気持ちなどお構いなしに元気よく政義さんは声をかける。


「こんばんは……。よろしくお願いします」


「声、暗いね。せっかくの金曜日なんだから、ね」


「……はい」


「こっちまで滅入っちゃうよ。さ、元気に仕事しよう」


そういって政義さんは機嫌よく仕事をしている。

メーラーを立ち上げ、仕事のチェックをする。

今日のできる分を各部署の担当の人が送ってくれて、それをチェックし、書類にまとめるなり、来ていた宅配便のダンボールをチェックしたりしていた。

それを時折、政義さんが仕事の隙を狙って、私を舐めるようにみていた。
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