恋愛優遇は穏便に
まずは契約期間をしっかり働かないと。

エンゲージリングを左手の薬指につけることができたら、とあわい期待を抱いている。


「むつみさん?」


「ううん、何でもないです」


そうだよね。

結婚資金も貯めてないのに、結婚なんてまだまだだし、それに政宗さんともはじまったばっかりなのに。

新居に行ってみると、私と会社との距離がちょうど中間地点にある場所で、大きな会社のあるビルや飲食店、大型スーパーが立ち並んでいる近くだった。

スーパーが近いから買い物もできるし、前よりは便利になったかな、と政宗さんはうれしそうに話してくれた。

次の日に引越業者に頼んで段ボールを手配して、二人で片づける。

男性ということもあり、大型の家電やタンスなどは荷物は兄のものということもあり、比較的スムーズに片づけることができた。

新居へは新しい家具や家電を近くの大型スーパーでみつけて購入し、運んでもらった。


「むつみさんとの生活用品も買いたいところですが、いい物件が見つかるまでは我慢ですね」


と残念がる政宗さんを見て、私も残念だけどそういう声にちょっと嬉しい気持ちになった。
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