恋愛優遇は穏便に
今週は早く時間が流れているように感じた。
通常の受注発注業務ぐらいで特に急ぎのことはなく、昼休みも北野さんや高清水さんを交えて楽しく過ごすことができた。
金曜の昼になり、もしかしたら政宗さんかと思ったら、栗林さんを連れた高清水さんと一緒に事務所で食事をするのみだった。
結局、朝政宗さんに会うだけで一週間が過ぎていく。
金曜の夜は土曜日が休みということもあって、会社帰りのサラリーマンもOLも学生もどこか浮足だっているように思えた。
そんななか、自宅の方向ではなく、駅の高層ビルへと足を早める。
やっぱりこの透明なドアをあけ、さらに銀色のドアを開けることをためらってしまう。
しかし、仕事だからと自分に言い聞かせ、二枚のドアを開ける。
すると、銀色のふちのメガネをかけた政義さんがにこやかに出迎えてくれた。
「よ、よろしくお願いします」
紺色のスーツに身を包んだ政義さんから甘いオーラが漂っている気がする。
気が付かないふりをして、自分の席についた。
政義さんは自分の席からゆっくりと立ち上がった。
「待ってたよ。むつみチャン」
「やっぱり、森園さんっていう言い方にしてもらえませんか。五十嵐室長」
「え、どうして? フレンドリーでいいじゃない」
「仕事とプライベートにわけたほうがいいと思いまして」
「今、この部屋には誰がいる?」
「室長と私だけですけど」
「だから、政義って呼んでもいいっていったよね」
少しずつ政義さんが私に近づいているような気がした。
通常の受注発注業務ぐらいで特に急ぎのことはなく、昼休みも北野さんや高清水さんを交えて楽しく過ごすことができた。
金曜の昼になり、もしかしたら政宗さんかと思ったら、栗林さんを連れた高清水さんと一緒に事務所で食事をするのみだった。
結局、朝政宗さんに会うだけで一週間が過ぎていく。
金曜の夜は土曜日が休みということもあって、会社帰りのサラリーマンもOLも学生もどこか浮足だっているように思えた。
そんななか、自宅の方向ではなく、駅の高層ビルへと足を早める。
やっぱりこの透明なドアをあけ、さらに銀色のドアを開けることをためらってしまう。
しかし、仕事だからと自分に言い聞かせ、二枚のドアを開ける。
すると、銀色のふちのメガネをかけた政義さんがにこやかに出迎えてくれた。
「よ、よろしくお願いします」
紺色のスーツに身を包んだ政義さんから甘いオーラが漂っている気がする。
気が付かないふりをして、自分の席についた。
政義さんは自分の席からゆっくりと立ち上がった。
「待ってたよ。むつみチャン」
「やっぱり、森園さんっていう言い方にしてもらえませんか。五十嵐室長」
「え、どうして? フレンドリーでいいじゃない」
「仕事とプライベートにわけたほうがいいと思いまして」
「今、この部屋には誰がいる?」
「室長と私だけですけど」
「だから、政義って呼んでもいいっていったよね」
少しずつ政義さんが私に近づいているような気がした。