恋愛優遇は穏便に
政宗さんのマンションにつき、たわいもない、二人だけの時間を過ごす。

この二人だけの特別な時間に、政宗さんと愛しあえるのはありがたい。

政宗さんと会うときは必ずカバンに指輪を忍び込ませていた。

それをわかっていて、政宗さんは部屋についてすぐ、政宗さんの手によって指輪をつけてくれる。

それが私たちの愛し合うはじまりの時間だった。

果てたあと裸のまま、ベッドの上で指輪をつけた手をあげると、私も政宗さんも一緒にみていた。


「やっぱりきれいですね」


「ええ。政宗さんにもらったんですから」


「むつみさんがですよ」


「は、はずかしいこと言わないでくださいよ」


「僕にとっては宝石よりもむつみさんが一番素敵に輝いていると思います。特に僕に抱かれているむつみさんは」


「……政宗さんったら」


どうにか理由をつけては互いの体を求めあう。何度も何度でも。

さらりと、政宗さんが私の髪の毛を触った。

お兄さんの指が私の毛先を触った感触とは別の安心できる気持ちにさせてくれた。
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