恋愛優遇は穏便に
土曜日の朝を二人で迎える。

カーテンのすきまから太陽の光が降り注ぎ、床へまっすぐ光の線が引かれている。


「起きちゃいましたか?」


政宗さんはわたしの右隣で横になっている。

黒ぶちメガネをかけ、やさしい笑顔で問いかけた。


「起きてたんですか?」


「目が覚めてしまって。ずっとむつみさんの寝ている姿をみていました」


「……恥ずかしいですって」


くるまっていたタオルケットで顔を隠した。


「昨晩のむつみさんのあの表情もきれいだけど、今の照れたむつみさんもいいなあ」


メガネからまっすぐ見据える政宗さんの視線が昨夜の熱を呼び覚ます。


「まだ足りませんか?」


「そんなことはないですって」


「照れて赤くなるむつみさん、かわいいですね。朝からそういう気持ちにさせるなんて」


そういうと、政宗さんは私にキスをすると、首筋から順を追って私のカラダを確かめる。


「その表情は誰にも見せちゃ、いけませんからね」


「……わかってますって」


まだ朝なのに夜の気配を漂わせて二人とも欲望の露に濡れた。
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