永遠に....
*

*

*

「雛、あの子だよ」

慎司のさす方向に目を向ける雛

そこには日和の姿が

ぼーっとどこかを見ている日和

周りにはボール遊びをしている子もいれば、砂遊びしている子もいるのに、気にもとめずに一点を見つめていた

「...」

「毎日、いるんだよ」

「何故、話しかけたのですか?」

ふと、疑問に思う雛

「目があったんだ。だから」

「そうなのですね...」

雛はそれ以上何も言えなかった


それと同時に、施設のことを5才の子供に説明しても理解してくれるのか...

雛は慎司が施設のことを忘れるように、幼稚園の帰り道を変えるように迎え係に命じた

日和を見た雛は、何か違和感を感じた

帰り道を変わってから、慎司は施設を通ることはなかったが、日和の存在を忘れられなかった

あるとき、慎司は隙を狙って施設に向かった

「あの子いた‼」

日和はいつもの場所にいた

慎司はフェンス越しに話しかけた

「いつも何してるの?」

慎司の声に目を向ける日和

「...」

「...僕、新垣慎司って言うんだ!君は?」

「...」

慎司の質問に答えない日和

「日和ちゃん、おやつの時間よ」

迎えにきた先生は日和を連れていこうとした

「その子、何でしゃべらないの?」

日和がダメならと慎司は思った

「...こんにちは」

「こんにちは...この子はいつもここにいるよね?」

先生は日和の手を握り慎司の近くにきた

「この子は家族と別れちゃったから寂しいのよ...」

「何で?」

「...この子は日和ちゃんって言うの。よろしくね」

「寂しいなら、僕が遊びに来てあげるよ」

「...」

日和は下を向いたままだった

「ありがとね...」

先生はどうして良いかわからなかった

「君、ご家族の方は?」

「僕一人で来たの」

「...一人は危ないから、もう帰った方がいいよ」

「...うん...」

「ほら日和ちゃん、バイバイって」

先生は日和の腕を持ち、日和の手を振った

日和はやられるがままだった

「...また来るね」

慎司は去っていった

先生は日和を気にする子がいるのを嬉しく思ったが、複雑な気持ちにもなった

日和の心の傷は、簡単には治せないから...
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