スノーパレード
―snow parade―



「結婚しよう。」

顔を真っ赤に染めて彼はそう言った。

夕暮れに照らされる彼の肩が緊張の為か
小さく震えているのがわかる。


俗に言う

『一世一代の告白』を受けているあたしは
彼のその言葉に、驚きのあまり肩に掛けたカバンを落とした。



「へっ?」

付き合って2年弱。
そりゃ、そうゆう話をした事がない訳じゃない。



だけど―――…




「ちょ、ちょっと待ってよ。珊汰、本気?」

「当たり前だろーが!冗談でこんな事言わないっつーの!」

珊汰(サンタ)は赤くした顔を更に赤らめて、少しずつあたしに歩み寄る。




そして切なく揺れる瞳をあたしに投げて

「雪乃は嫌なの?俺と結婚するの。」

小さく呟いた。



「……そうじゃ、ないけど…。」


嫌な訳がない。
あたしは珊汰が大好きだもん。



だけど、だけど!





< 1 / 53 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop