スノーパレード
―snow parade―
「結婚しよう。」
顔を真っ赤に染めて彼はそう言った。
夕暮れに照らされる彼の肩が緊張の為か
小さく震えているのがわかる。
俗に言う
『一世一代の告白』を受けているあたしは
彼のその言葉に、驚きのあまり肩に掛けたカバンを落とした。
「へっ?」
付き合って2年弱。
そりゃ、そうゆう話をした事がない訳じゃない。
だけど―――…
「ちょ、ちょっと待ってよ。珊汰、本気?」
「当たり前だろーが!冗談でこんな事言わないっつーの!」
珊汰(サンタ)は赤くした顔を更に赤らめて、少しずつあたしに歩み寄る。
そして切なく揺れる瞳をあたしに投げて
「雪乃は嫌なの?俺と結婚するの。」
小さく呟いた。
「……そうじゃ、ないけど…。」
嫌な訳がない。
あたしは珊汰が大好きだもん。
だけど、だけど!
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