スノーパレード
驚くのも無理ない。
ここに居るのは
あたしだけだと思っていたから。
「…いつからって、ずっと。」
あたしの質問に答えた珊汰は、よっと小さく声を上げて立ち上がった。
「保科、さんだよね?」
あたしの立つ窓際まで近付いてきた彼は
首を傾げて尋ねてくる。
「…うん。」
珊汰が転校してきて約二週間。
初めて会話を交わしたあたし達。
多分、珊汰と喋ってないのはあたしくらいなもんだ。
だからこそ、何だか気まずい。
だけど―――…
『何か、パレードみたいだね。』
この人、あたしと同じ事考えてた。
そんな些細な事なのに
急に親近感が湧く。
『保科、さんだよね?』
それに、あたしの名前知ってた。
あたしの事なんて
絶対、知らないと思ってたから…。
何か、嬉しいかも。