スノーパレード
外は少しずつ白く染められて、珊汰の鼻がほんのり赤くなってるのがわかる。
…サンタのくせに、トナカイみたい。
何故、珊汰がベランダに居たのかはわからないけれど
「寒くないの?」とつい聞いてしまった。
その問い掛けに
白い息を吐きながら
「ちょー寒い。」と答える彼。
なら、中に入ればいいのに。
そう思った時には珊汰は既に教室に入ってきていて。
「俺さ、ずっと話したかったんだ。」
「え?」
いそいそと黒いマフラーを巻いた珊汰は
ポケットからホッカイロを取り出して
「保科さんと喋ってみたかった。」
改めて言い直す。
不覚にも、心臓が口から飛び出るぐらいに跳ね上がった。
二人きりの教室。
初めての会話。
窓の外には雪が舞っていて。
保科 雪乃(ホシナ ユキノ)
16歳の冬。
――恋に落ちるのは
あまりに簡単だったの。