スノーパレード


黙り込んだあたしに、珊汰は「はぁ…。」と大きく溜め息をついた。

ガランとした教室。


二人きりのこの空間で
珊汰の溜め息はあまりに重く感じる。




…今日は

珊汰の誕生日なのに…。


鼻の奥がツーンとして、あたしはぎゅっと唇を噛み締めた。




そして、ポツリと落とされた残酷な言葉。


「雪乃なら…、」

「…え?」

俯いていた顔を上げる。







「雪乃なら、いいよって言ってくれるって思ってたのに。」


二人で笑って過ごした日々だけが、あたしの思考回路を巡ってゆく。

今度は耐え切れない程の涙が頬を流れ出た。



「…どうするかは、雪乃が決めて。」


目の前に居る珊汰が滲んでぼやける。


「俺と結婚するか、別れるか。雪乃次第だよ。」





―――これが夢ならば

どうか、早くあたしを現実に戻して。





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