スノーパレード
…お母さんもお父さんも珊汰をよく思ってくれていない。
いや、珊汰だからって訳じゃないんだ。
きっと、誰であろうと
あたしが付き合う人は気にくわないんだと思う。
「雪乃、勉強は?」
忙しそうに夕飯を作りながらお母さんは背を向けて、ソファに座るあたしに尋ねる。
「…ご飯、食べたらやるよ。」
ぶっきらぼうに答えたあたしに、お母さんは大きく溜め息を吐き捨てた。
「ご飯はまだ少しかかるから、それまで部屋で勉強…、」
「うるさいなぁ!いつ勉強したって同じだよ!」
言いかけたお母さんの言葉を遮って、あたしは読んでいた雑誌をソファに投げ付ける。
「……あたしご飯、いらない。」
そう呟いて、リビングの扉を開けたあたしは
傷ついた顔をするお母さんから逃げ出した。