スノーパレード
その日、一度も目も合わず、会話も交わさないまま時間だけが過ぎた。
放課後を待って、あたしは珊汰の座る席に近付いた。
そして意を決し、大きく息を吸い込む。
「珊汰、一緒に帰…、」
「あ、マコト今日カラオケ行かねぇ?」
珊汰の肩に伸ばしたあたしの手が、虚しく宙をすり抜けていく。
珍しい珊汰からの誘いに目を丸くしたマコトくんは、あたしを気にしながら
「い、いいけど。」と答えた。
その場で立ち尽くしたあたしの耳に
遠ざかっていく珊汰の笑い声。
「雪乃、」
気が付けば心配そうにあたしを覗き込む深夏が隣にいて。
「……っ、深夏ぁ…。」
溢れる涙が、珊汰の言葉をよりリアルに感じさせた。
『雪乃と、別れる。』
どうして―――…?
どうして、こんな事になっちゃったの?