スノーパレード



――彼、珊汰と付き合ってたのはおよそ2年前の冬の始め。

高校1年の時だ。



いつもよりやけに騒がしい朝の教室。

ようやく着慣れた制服を翻して登校したあたしは席に着くなり
前にいた愛実(マナミ)に声を掛けた。



「ねぇ、これ何の騒ぎ?」

肩を叩いたあたしに、振り返った愛実は興奮した様子で口を開く。



「雪乃、知らないの!?今日転校生来るんだって!」

「転校生?」

「そう!し・か・もっ男子!」


その響きに、女子が目を輝かせて口を揃えた。


「転校生って言ったらやっぱ、期待するよね!」

「だよねぇっ!やっぱかっこいいかなっ!?」



『転校生』『男子』

その言葉だけで
教室中の女子は朝からかなりのハイテンション。


心なしか、クラスメイトの男子達が気落ちして見えるのは
あたしだけだろうか。




< 5 / 53 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop