スノーパレード
――彼、珊汰と付き合ってたのはおよそ2年前の冬の始め。
高校1年の時だ。
いつもよりやけに騒がしい朝の教室。
ようやく着慣れた制服を翻して登校したあたしは席に着くなり
前にいた愛実(マナミ)に声を掛けた。
「ねぇ、これ何の騒ぎ?」
肩を叩いたあたしに、振り返った愛実は興奮した様子で口を開く。
「雪乃、知らないの!?今日転校生来るんだって!」
「転校生?」
「そう!し・か・もっ男子!」
その響きに、女子が目を輝かせて口を揃えた。
「転校生って言ったらやっぱ、期待するよね!」
「だよねぇっ!やっぱかっこいいかなっ!?」
『転校生』『男子』
その言葉だけで
教室中の女子は朝からかなりのハイテンション。
心なしか、クラスメイトの男子達が気落ちして見えるのは
あたしだけだろうか。