ガキ的愛情表現の結末【完】
♤♤2
「なんで、おまえがここにいるんだよっ」


中学入学早々、哲也は有希につっかかていた。


ここは、M中学サッカー部、部室前。


「なんでって、そんなのサッカー部に入るからに決まってるでしょーが。
 そんなこともわからないなんて、アンタ、ほんとにアホだね」

「はあ? おまえの方がアホだろーが。
 この、チビっ」

「ちょっとくらい背が高いからって、いい気になるな、短足男」



小5で出会ってから、約2年。

2人は相変わらず、ケンカばかり。


変わったことといえば、哲也の身長が20cm伸びたことぐらいである。


もともと低めだった有希の身長は気の毒なことにほとんど伸びず、今後に期待が持たれている。


「あーあ。せっかく違うクラスになれて喜んでたのによォ」

「それは、こっちのセリフだよ、ボケ」

「なんだとっ。
 だいたいなあ、おまえはチビのくせに生意気なんだよ」


低レベルの口ゲンカは延々と続きそうだったが、


「あ、おい、コラ。
 これから自己紹介してもらうんだから、ケンカはやめろ」


おそらく今後この2人によって気苦労が絶えないであろう、気の毒なキャプテンによって中断された。


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