ガキ的愛情表現の結末【完】
有希が椅子にふんぞり返って、男子生徒からぶんどっ――いや、いただいた水風船で頭を冷やし、扇ぎ過ぎてヒビの入った下敷きでパリパリと音をさせて扇いでいると、


「怠けてんじゃねえよ、チビっ」


窓の外から、聞き覚えのある声がした。


見ると、案の定、哲也がいた。

哲也は体育のようで、体操服を着ていた。


「チビって言うな――っ」


有希は、ほとんど条件反射で水風船を哲也の顔に投げつけた。


有希の目論見では、水風船は見事、哲也の顔面で割れるはずだった。

が、哲也の手の中で未だ原型をとどめていた。



「危ねえな。割れたらどうすんだよっ」


そう言い終えるが早いか、哲也は有希に水風船を投げ返した。

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