ガキ的愛情表現の結末【完】
「――川村詩織って知ってる?」

「しおりん?! 知ってるよ~。
 幼稚園から転校するまでずっと同じクラスだったんだよ」


懐かしい友人の名前に、有希はしばらく盛り上がっていたが。


「あ、ヒロ、もしかして、しおりんのこと好きなの?」


その名前が出てきた経緯をやっと思い出した。


「うん」

「へえ、ヒロって面食いなんだね」

「まあね」

「で、しおりんの方は?」

「多分、オレと同じ気持ちでいてくれたと思う」

「多分て、――告白は?」

「してない」

「なんで~? せっかく両想いなのに」


鈍感な有希の問いに裕之は寂しそうに微笑った。


「……転校するってわかってたから」

「片道4時間以上かかるんだよ」

「…………」

「ユウは、会えなくても平気?」

「……どうだろ」


まだ誰かを好きになったことがなかった有希には想像できなかった。


「いくら好きでも、どうしようもないことってあるよね」


裕之の澄んだ瞳に捉えられ、


「……かもね」


有希はうなずくしかなかった。


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