ガキ的愛情表現の結末【完】
練習後、サッカー部でグランドの草むしりや外トイレの掃除をすることになった。


哲也は、トイレ掃除担当。



掃除、めんどくせぇ――。


正直、多少の不満はあった。



だが、哲也の不満がピークに達したのは。


校庭の隅で仲良く草むしりをしている、有希と裕之を見た瞬間だった。



「ちょっと、何すんのよ〜」


有希のがなり声に我に返った哲也は、全身びしょぬれの有希の顔にホースを向けていることに気がついた。


「東っ。おまえ、なにやってるんだっ」


顧問の氷川(ひかわ)先生が、職員室から飛び出して来た。


「渡辺は、とりあえず保健室行って、なんとかしてきなさい」

「はあ~い」


氷川先生の慌てぶりに対し、有希はのん気な返事をした。



これで、草むしりをしなくて済む――。


哲也への怒りより、怠惰な気持ちが勝っていた。



「東は、職員室」


鬼の形相の氷川先生に宣告される前から、哲也は動揺していた。


無意識に取ってしまった行動はさすがにやり過ぎだったと、自分でもわかっていたからだ。


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