ガキ的愛情表現の結末【完】
「ちょっと~、大丈夫?」


いつまでたっても黙って突っ立っている哲也に、有希はしびれを切らした。


「え? あ、ああ」

「てゆーか、これって、アンタが私に言うべきセリフでしょーが」

「ああ……そうだな」

「……もしかして、すっごく怒られちゃった?」


哲也があまりにもおとなしいので、有希は毒気を抜かれてしまった。


「気にしなくてもいいよ、暑かったし。
 それに掃除もサボれたしね」


実際はニヤっと笑った有希だったが、恋とは恐ろしいもので、哲也にはこの上なく爽やかな笑顔に見えていた。

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