ガキ的愛情表現の結末【完】
♡♡♡6
12月29日。
有希と隆史は、久しぶりに学校も部活もない朝をそれぞれの布団の中で堪能していたが。
「2人とも、今日は大掃除よっ。
早く起きなさい」
次第に近づいてくる桂子の声に、頭まで布団にもぐって狸寝入りを決め込んだ。
しかし、そんな2人を操縦するコツを桂子はすでにつかんでいた。
「この紙に書いてあることを夕方5時までに終わらせたら、夕飯は焼肉よ」
「焼肉」と聞いたとたん、
「マジ?!」
「やった!!
焼肉っ」
2人は布団から飛び出て、桂子の手からリストを奪い取った。
「……この、『押入れの整理』って?」
「6月に静岡に戻るでしょ。
だからこの機会に、いらないものを処分しておいてちょうだい」
「あ、そうか、もう5年経つんだ」
桂子と隆史の会話に、有希は愕然とした。
静岡に戻るということは、転校するということ。
――哲也と、4時間かかる距離、離れてしまうということ。
いくら好きでも、どうしようもないことってあるよね――。
寂しそうにつぶやいた裕之を思い出し、有希はギュッとくちびるを噛みしめた。
有希と隆史は、久しぶりに学校も部活もない朝をそれぞれの布団の中で堪能していたが。
「2人とも、今日は大掃除よっ。
早く起きなさい」
次第に近づいてくる桂子の声に、頭まで布団にもぐって狸寝入りを決め込んだ。
しかし、そんな2人を操縦するコツを桂子はすでにつかんでいた。
「この紙に書いてあることを夕方5時までに終わらせたら、夕飯は焼肉よ」
「焼肉」と聞いたとたん、
「マジ?!」
「やった!!
焼肉っ」
2人は布団から飛び出て、桂子の手からリストを奪い取った。
「……この、『押入れの整理』って?」
「6月に静岡に戻るでしょ。
だからこの機会に、いらないものを処分しておいてちょうだい」
「あ、そうか、もう5年経つんだ」
桂子と隆史の会話に、有希は愕然とした。
静岡に戻るということは、転校するということ。
――哲也と、4時間かかる距離、離れてしまうということ。
いくら好きでも、どうしようもないことってあるよね――。
寂しそうにつぶやいた裕之を思い出し、有希はギュッとくちびるを噛みしめた。