ガキ的愛情表現の結末【完】
練習前、部室で着替えていると、なんとなくバレンタインの話題になった。


「ヒロって最高何個もらったことあんの?」

「さあ」

「そんな、数え切れないほど?!」

「いいなあ。オレなんて、義理チョコしかもらったことないよ」

「いやいや、オレなんか義理チョコすらないぜ」


悲しい自慢を堂々としたのは、哲也。

女子を泣かせたり有希と悪口を言い合っていたせいで、哲也は女子から敬遠され続けてきたのだ。



「でも、今年はもらえんじゃん?」

「しかも本命チョコか~、いいな~」


部員たちが羨む中、ふと、哲也と裕之の視線がぶつかった。



あの日から1週間以上が過ぎていたが、まだ何も変わっていなかった。


哲也は裕之の顔を見ることができず、そっと視線を外した。


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