ガキ的愛情表現の結末【完】
練習が始まるといつもの女子グループが現れ、楽しそうにおしゃべりをしながら、時々「がんばって~」と声援を送ったりしていた。


そんな中、1年生の蹴ったボールが危うく彼女たちを直撃しそうになった。


「ちょっと、気をつけなさいよ」

「危ないわねっ」


彼女たちのキツイ口調に、


「……スミマセン」


ボールを取りに来た1年生はすっかり萎縮してしまった。



それを見ていた部員たちは、みな、内心腹を立てたものの、そのまま練習を続けようとした。


――が。


「おまえら、毎日オレたちの練習見に来てるけど自分らの部活、どうしてんの? 
 部活入ってんだろ?」


哲也だけは彼女たちに立ち向かっていった。


「そんなの、私たちの勝手でしょ」

「つーか、はっきり言って、おまえらジャマなんだよ。
 サッカーやってんだから、ボール飛んで来るのとか当たり前だろ。
 気をつけろって、前にも言っただろーが」

「なによ、それ。
 私たちのこと気遣って言ってくれたんじゃなかったの?」

「オレがそんな親切なワケねぇだろ。
 ぶつかったら自分の責任だって言いたかったんだよ」

「ひど~い」

「あとさ、部活サボってるようなヤツにがんばってとか言われてもうれしくもなんともないから、もうやめてくんない?」

「東って、サイテー」

「ムカつく、行こっ」


女子グループはプリプリして――ただし、理沙だけは悲しそうに、立ち去った。


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