ガキ的愛情表現の結末【完】
部活後、裕之は明人(あきと)と俊介(しゅんすけ)と帰っていた。


「テツがあいつらに言ってくれて、マジ、すっきりした~」


話題は、哲也と女子グループの一件。


「だけど、いいのかな、高木のこと」

「つーか、思ったんだけど、テツって高木のこと好きなのかな?」

「そりゃ好きなんじゃないの?
 だって、あんなに仲良さそうだったし」

「でも、好きな女にあんなこと言うか?」

「じゃあ、なんであんなに仲良くしてたんだよ」



明人と俊介の会話を黙って聞いていた裕之は、ここで初めて声を発した。


「誰かにヤキモチやかせたかったから、とか?」

「ヤキモチ?」

「誰に?」


サッカー部と同じグランドで練習しているのは、野球部――男子だけ。


「見学してた女子の中にいるのか?」

「いや」

「でも、他に女子なんていないじゃん」

「いるでしょ、ひとり」


裕之が思わせぶりに笑うと、2人は有希の存在を思い出した。


「……まさか?」

「いやいや、それはナイだろ」


俊介が即座に否定すると、


「……いや。なくもないな」


明人がその肩に手を置いた。


< 58 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop