ガキ的愛情表現の結末【完】
昇降口を出て、傘を広げた哲也は有希を振り返った。


恥じらう2人の瞳が交わって。


ひとつの傘の下。


ぎこちなく並んで歩き出した。




2人で入るには傘はギリギリの大きさ。


もっとくっつけよ――。


哲也はそう言いたかったが、言えるはずもない。


だからせめて有希に雪がかからないように、そっと傘を傾けた。




白く舞う雪の中の。


初めての、2人きりの帰り道――。




2人は、ただ、黙って歩いていた。


< 66 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop