ガキ的愛情表現の結末【完】
「――なあ」


沈黙が逆に恥ずかしくなり、哲也は口を開いた。


「いつも誰と帰ってんの?」

「陸上部の子とか、途中で一緒になった子とか、いろいろ」


有希は女子陸上部の部室で着替えていたので、哲也にもその状況が把握できた。


「家まで誰かと一緒?」

「ううん。
 だいたい、さっきのコンビニでひとりになる」

「……へえ」


哲也は少し考えた後、


「じゃあ、明日からオレが送ってやるよ」


さりげなさを装って言った。


「え?」


有希は短く声を上げたが。




2人きりの時間が明日からも続く――。


3カ月後には終わりが来る初恋の、淡い思い出作り――。



「……うん」


突然舞い込んだ幸運をかみしめつつ、小さくうなずいた。

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