ガキ的愛情表現の結末【完】
「じゃあな」


有希の家の前で向き合った瞬間、有希は、哲也の左半身が雪だらけであることに気づいた。


「ちょ、ちょっと待って」


有希はバッグからタオルを取り出すと、その雪を払った。




そして。



「……ごめんね」



哲也を見上げた有希の、初めて見せる女の子らしい柔らかな表情――。


やっぱり可愛いーー。


胸が熱くなると同時に、哲也は、有希に悪態をつく時に「チビ」としか言えなかった理由に気づいた。


最初から可愛いと思っていたから、悪口にも「ブス」などとは言えなかったのだと。


他の男子がどう思おうと、哲也にとって、有希は会った瞬間から世界一可愛い女の子だったのだ。

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